欧米では親しまれている業態だが、日本では珍しい。運営するプリサ(東京・世田谷)の森田淳史社長は、「昨年、スペインで数十種類もの味をそろえた、ムール貝とフリットの専門店を利用して面白いと感じ、日本でも立ち上げたいと考えた」と話す。 「Pinze loca」は、ベルギー、フランス、イタリア、スペインのスタイルを融合し、独自のメニューを開発。ムール貝を蒸すタイプは白ワインやビールなど蒸すのに使う酒の種類と、アメリケーヌやマルゲリータなどソースとの組み合わせで40種類がある。焼くタイプはムール貝と、アサリやツブ貝などの魚介類を組み合わせたもので10種類ある。いずれも1kg、1.5kg、2kgの3サイズで提供する。蒸すタイプ、焼くタイプとも食べ終わった後に残るムール貝のスープでリゾットやパスタ(各800円)にでき、8割のお客が注文する。 一品料理も充実していて、「桜えびのタルトフランベ」(1200円)、肉の串焼き(270円~)も用意し、飽きない工夫がされている。 「日本にも『専門店ができるのを待っていた』と話す人が多く、来店時に次回の予約をするリピーターが増えている」と森田社長は喜ぶ。 欧米に比べ日本のムール貝は価格が高く、1kg1280円~という価格設定を実現できる国内の調達先を探すのに時間がかかった。今後、産地との信頼関係を深め、生産量の増加を働きかけながら、出店拡大を進めていく考えだ。