2002年、25歳のときにニースで開店したときから、「結果を出せば、日本でも出店できる」と考えていました。そして、東京でスタッフが育ってニースで経験を積めば、会社全体のチーム力が高まります。そうすればグローバルに攻めていけると思って、今は取り組んでいます。
東京のフランス料理店「KEISUKE MATSUSHIMA(ケイスケ マツシマ)」のコンセプトは、「私がニースで提供している料理を味わえるレストラン」です。スタッフには「ここで食事したお客様に『ニースに行ってみたい』と思ってもらえたら勝ちだ」と言っています。
3月に原宿に「カフェ ニース・マタン」をオープンしたのは、フランス料理を味わった経験のない人が触れるきっかけになる“入り口”がないと感じたからです。自分自身、映画やファッションでフランスを知って、料理を通じて教養を深めることができました。カフェという形で気軽にフランス料理を味わえるようにし、「フランス料理を知ったら、あなたの人生が豊かになりますよ」と伝えたいと考えて立ち上げました。
フレンチを極めたような「分かる人には分かる」店だけでは、外食業界は発展しません。料理は、その国の歴史であり文化であり、その地の人たちが作り上げてきた生きる知恵です。その違いを食事を通じて感じたり学んだりしながら、自分の人生に取り入れることで豊かになってほしいというのが私の外食に対する思いです。カフェがないと、10~20代の若い人たちはなかなかそんな体験ができませんから。